「孤独のグルメ」と「純喫茶ブーム」。皆、一人の空間を求めている。
「孤独のグルメ」という漫画。ドラマ化もされて有名な作品だけれど、この作品が最初に発表されたのは1996年と20年以上前だ。
それが近年になって話題となっているのは、やはり「孤独」「ひとり」というものを重視する人が多くなってきているからだろう。
「孤独のグルメ」はなぜここまで支持されたか
「孤独のグルメ」は主人公の五郎さんがひとりで黙々とご飯を食べるマンガだ。(ちなみに、下戸という設定のためお酒の話は出てこない)。
このマンガがここまで注目を浴びた理由は「ひとりで、美味いものを食べたい」という人が多くいて、そして、実際にそれを実行できている人が少ない、ということがあるのだと思う。
飲食店に行こうにも、ひとりでは入りにくいお店も多いし、周りの視線も気になる。店員に「ひとりです」と告げるとなんだか冷遇されているような気分にもなる。テーブル席が開いているにもかかわらず、落ち着いていないカウンター席に案内されたりする。
そんな現状があって、ひとりで美味いものを食べたい、という人の欲望を見事に掴んだのが「孤独のグルメ」だと思っている。
カフェブーム、の終わり方
思えば、スターバックスも日本上陸当時は「サードプレイス」という概念を全面に打ち出していた。家と職場に続く「第三の場所」。
僕も、昔はスターバックスによく行っていた。それは美味しいコーヒーと、第三の場所でひとりゆっくり、考えに浸る、ということをしていたので。
でも、今はスターバックスはそういう場所ではなくなってしまっている。注文するまで行列、席の確保は難しく、座っても周りは騒がしく落ち着かない。スターバックスはもはや、ひとりを求めるお店ではないのだ。
そして、純喫茶ブーム
かわりに、最近は「純喫茶ブーム」だ。純喫茶、基本的にお酒を出さず、昭和的な内装。ソファ席で新聞でも読みながらゆっくり過ごす。周りも同じようなお客さんばかりなので非常に居心地がいい。
※写真は上野で撮影
純喫茶、というものはここ20年位、スタバ等のコーヒーショップに押されて数を減らしていたと思う。それがここ数年もてはやされているのなぜか?
シアトル系やら、サードヴェイブなんちゃらなコーヒー店に違和感を覚える人が多いということなんだと、思う。
思うに、コーヒーを飲むお店というのは休む場所だけでなく、ひとりを求める人からもかなりの需要があるはずだ。スターバックスはファッションやコーヒーの美味しさで伸びた部分もあるけれど、全く新しいひとりでいられる場所、という点が大きかったのではないだろうか。
おわりに
孤独を、ひとりを求めている人は、多い。そして、なんでも情報過多のこの時代、ひとりになれる場所を求めている人はさらに多くなっていくだろう。そんな場所が増えていくことを切に望んでいます。